週刊:日本近現代史の空の下で。

過去に向きあう。未来を手に入れる。(ガンバるの反対はサボるではありません)

頑張って服従する:近代化の道を間違えたツケが噴出する現代日本

前回の追記の続き。 日本は近代化の道を間違って歩んでしまった。それがいまだに自覚すらされていないからこそ、現在も「頑張る」という言葉が無自覚に隆盛を極めている、ということなのではないでしょうか。 日本という国家が間違った道を歩みだしたのは、…

頑張れば頑張るほど世界で勝てない日本:我慢は美徳か

先日も書きましたが、「頑張る」を広辞苑でみると、 ①我意を張り通す。「まちがいないと─・る」②どこまでも忍耐して努力する。「成功するまで─・る」③ある場所を占めて動かない。「入口で─・る」 となっています(ちなみに③は第4版(1991)から追加されたも…

元号をやめれば、日本は変わる。もっと生きやすい国になる。

戦後占領期の昭和25年5月。日本学術会議が吉田茂首相らに対し、元号廃止の申入をした文書が残っています[link]。理由に、以下3点を挙げています。 1.科学と文化の立場から見て、元号は不合理であり、西暦を採用することが適当である。〔以下略〕2.法…

関東大震災のとき、日本人には「この際だから」との気概があった。

2011年におきた東日本大震災のとき、日本中に「がんばれ」があふれました。がんばれ日本、がんばれ東北・・・。 では、その88年前、1923(大正12)年におきた関東大震災のときはどうだったかというと。 このとき、「がんばれ」コールは、存在し…

ハリルホジッチの発言から:日本人の歩みが遅いのは「従順ファースト」だから。

サッカー日本代表の監督を解任されたハリルホジッチ氏が、クロアチアのスポーツ紙に語った内容が興味深い。 ハリルホジッチ氏がクロアチア紙に語った本音 「日本人の歩みは遅い」 - ライブドアニュース 経済的に世界で最も強い国の一つとして、かつ安定した…

終戦の教訓:理想と現実が乖離したとき、日本人は思考停止する

昭和19年7月から昭和20年8月までの一年間は、アメリカらを相手に、勝ち目のない戦争を続ける日本にとって、理想と現実が日々乖離していく、アンビバレントな一年間でした。 軍事面では特攻作戦が、外交面では対ソ工作が行われました。いずれも、後世か…

富岡定俊が感じた真珠湾攻撃の成果:「そう段違いではないのだ」

富岡定俊という海軍の軍人がいました。山本五十六は知っていても、富岡定俊は知らない人は多いかもしれませんが、軍令部の作戦部長を務めた、太平洋戦争時の海軍を代表する軍人のひとりです。著作と伝記がそれぞれ一冊出ています。 国会図書館憲政資料室「木…

特攻司令官の戦後回想から:プロパガンダとしての特攻

菅原道大という陸軍軍人(中将)がいました。沖縄特攻を指揮した陸軍第六航空軍司令官です。ちなみに、1983年に亡くなったときの訃報記事によれば、名前は「みちおお」と読むようです。 偕行社発行の雑誌『偕行』で彼の日記が公開されているのですが、今…

はたして日本人は敗戦をしっかり胸に刻みこんだのか?

「失敗は成功のもと」といいます。それは、失敗を反省し、失敗した原因から学んで、改めて再出発をすることで、二度と同じ過ちを繰り返すことなく、成功へと歩んでいくことを意味しています。 さて、昭和20年の終戦において、日本人は、はたして、敗北感を…

歴史は鉄板ネタじゃないし飲み屋で披露する十八番ネタでもない。

今回は、閑話休題的雑談です。 日本の近現代史については、研究者、専門家の最新の知見と、一般の認識との間に、ずいぶんと落差があることは、少しかじってみた人なら、わかっていることと思います。 その落差を少しでも埋めることが、僕らにとって大事なこ…

当ブログは原則毎週木曜22時更新ですが…

最近追いついてなくてすみません。。。 更新するまで、「自分たちに都合の良い主張は歓迎されるという当たり前の話。 - うにゃにゃ通信」などをご覧くださいまし。

あきらめるのは良いことです:「絶対に諦めない」と「一億玉砕」

朝日新聞「声」の欄に、「「あきらめる」のは悪いこと?」と題した一文が載っていました。投稿したのは、千葉県在住の高校生、矢板祐樹さん。 たいていの日本人は、あきらめることが苦手だと思う。「あきらめずに頑張る」のが良いこと、美しいことだと幼い頃…

1970年代試論:幻想としての「みんなガンバレ」の時代

「「頑張り圧」が日本社会に定着したのは70年代初頭:思考停止社会のルーツ」を書いて以来、1970年代が気になっています。 たとえば、(少なくともタテマエとしての)平等社会について。 「頑張れば夢が叶う」的な言説に、「誰でも」という要素がデフ…

小磯内閣への「本間報告書」には戦時下民衆のリアルの一端が

特高月報ネタが好評みたいなので、あまり知られていない重要資料「本間報告書」について書きます。 本間報告書とは、小磯内閣の時に内閣の私的顧問だった本間雅晴陸軍中将が、内外のさまざまな動向を広く収集、報告していたものです。とりわけ、当時の国内の…

情報求ム:ブルガリア首都ソフィアでソ連の対日参戦情報を得た「梅田」氏

来年、ブルガリアの首都ソフィアに行く計画を立てています。観光ですが、戦時中のソフィアに、「梅田」を名乗る正体不明の人物がいたとの情報を知ってから、気になっていた地なのです。 戦時中、ブルガリア駐在陸軍武官秘書としてソフィアに赴任していたこと…

「頑張る」は日本人に固有の民族性ではなく戦時中の刷り込みです

これまで「頑張る」というコトバがどのように使われてきたか、過去の文献からたどってみました。 ■昭和6年:人生の競争に、遊戯ではない真剣な生活事業の競争に、誰が『頑張れ、頑張れ!』と声援してくれるか。 昭和6年4月の雑誌に掲載された一文から。書…

「頑張り圧」が日本社会に定着したのは70年代初頭:思考停止社会のルーツ

前回を書いたあとに、ひとつの疑問が生じました。 「頑張り圧」は、いつ日本社会に定着したのだろうか。 多田道太郎が「頑張る」の考察をはじめて書いたのは、1970年11月23日に日経新聞に掲載されたエッセーです。 このことばを多用している。多用──…

「頑張り圧」という悪弊、頑張らないという戦略:提言「楽勝のススメ」

まずは前回のおさらいから。 ■「頑張り圧」とは 「頑張る」が美徳となってから、このコトバに刷りこまれたプレッシャーのこと。頑張らなければ、正しい姿であらねば、こうしなければ、という圧力のことを、ここでは「頑張り圧」と呼びます。 「頑張る」とは…

頑張るという美徳:自己犠牲を期待する圧力が時に僕らを縛りつける

「頑張る」がもつ含意、表面にはあらわれない、もうひとつの意味についての歴史的な考察です。 きょうもがんばろう!そう言って日々頑張っているあなたは、いったい誰のために頑張っていますか? 頑張らなければ、正しい姿であらねば、こうしなければ、…とい…

平和≒戦争:「戦争は絶対にダメ」は、逆に戦争へのエンジンとなりうる

「戦争は絶対にダメ」という言説が「無条件」で受容される社会は、戦争が「無条件」で肯定された、かつての日本と本質的に同じで、自主的思考より、求められた役割を忠実に遂行することが賞賛される社会は、戦争へ進む危険を常にはらんでいると思います。 昨…

日本人の正体に関する仮説:「変身」する仮面ライダーは僕らの化身

近現代を生きる僕ら日本人には、2つのアイデンティティ(もしくはパーソナリティ)があります。 ひとつは、「104歳の篠田桃紅さんが語る「デフォルトの日本人像」 」に書いたような、あっさり・さっぱりとしたタイプ。 ものごとを「なんとかなるさ」とか…

104歳の篠田桃紅さんが語る「デフォルトの日本人像」

104歳の現役美術家・篠田桃紅さんのインタビューを、NHKあさイチ(2017年12月14日放送)で見ました。なかでも、「日本の100年を見つめて思うこと」が、僕にはとても興味深かった。 日本人ってのはいったい、心配性なのか楽天性なのか、どっちかもわ…

天皇陛下が国民を統合し続ける理由:日本人という求心力は案外と脆い

「象徴天皇としてあり続けるためには、主権者である国民の理解や支持が必要であり、自ら積極的に動いて国民を統合していくことこそ天皇の役割だと考えているのでしょう」と、瀬畑源・長野県短大准教授は、天皇陛下が考える「象徴」の役割を指摘しています(…

進むべき道が自明だった時代。自主的思考を放棄できた時代。

あなたの周りに、孫に何でもしてあげた挙句、孫をダメにしてしまった、「優しい」おばあちゃんはいませんか。 ここでその詳細を書くのは控えますが、僕の周りには、います。しかも、一人ではありません。だからきっと、日本全国、そこらじゅうに、そんな「優…

過去に向きあう。未来を手に入れる。

当ブログの説明は「過去に向きあう。未来を手に入れる。」です。当初は「史料で日本の近現代史の再構築を。」だったのを変更しました。僕にとっては、ほぼ同じことを言っているつもりなのですが、その意味を説明します。 先日、朝日新聞のオピニオン欄に「フ…

日本精神・前編:「日本人らしさ」の源流は、満洲事変後にあった

日本人とは、何でしょう。 日本のはじまりを、かりに、農村社会が成立した弥生時代からとすれば、およそ2千年以上前となり、長い歴史があるわけですが、日本人が自分自身を日本人だとする自意識が生まれたのは、つい最近のことです。 司馬遼太郎は、幕末に…

ネバーギブアップとは、歴史的には批判されるべき悪徳

ネバーギブアップ、つまり、絶対にあきらめない、というのは、不屈の精神をあらわす美徳であるように、一般には思われています。 はたしてそうでしょうか。 日本の近現代史をみる限り、ネバーギブアップとはむしろ亡国の思想であり、決して賞賛されるべき考…

昭和18年7月の特高月報:かなり物騒だった戦時下の民衆

戦時下の民衆が必ずしも、横暴な軍に、なすすべもなく、ただ従うだけだった、というわけではない一例を、さきのブログに書きましたが、今回は日本国内の労働者の様子です。 内務省警保局保安課が、「特高月報」なるものを毎月発行していました。全国各地から…

企画院総裁・鈴木貞一の聴取書から:語られてこなかった戦時下の民衆の姿

今の日本には過去を振り返る力があるのだから、戦時中に起きたことにきちんと向き合うべき、とのカズオ・イシグロ氏の考えを出発点に前回は書きました。 これまで僕たちがきちんと向き合ってこなかったことのひとつに、当時、アジア各地で、軍人ではない日本…

カズオ・イシグロ氏の日本論から:「どん底からの逆転」神話の嘘と罪

先日ノーベル文学賞に選ばれたカズオ・イシグロ氏は、2年前のインタビューのなかで、日本は戦争という過去を忘れすぎているが、すでに「ショックに対する抵抗力の強い国」になったので、それに向き合うべきだという考えを語っています。 business.nikkeibp.…